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かまはむえいくさし

恩田睦「蒲公英草紙(たんぽぽそうし)」を読んだ。

老舗「菊寿堂いせ辰」の江戸千代紙をあしらった装丁が美しい。
その千代紙の美しさに見とれる幼い娘のように
清らかでいて、どこか夢見がちな余韻を残す小説でした。

物語の主人公「峰子」は、ある年の夏、
大地主の名家の人々、とくに体の弱い美少女「聡子」と
不思議な力を持つ「常野」と過ごすことになります。
「常野」とは、
未来を見通せたり、透視できたり……と
いわゆる超能力を持っている一族です。
中でも、日本古来の出来事や各地方の言い伝えから、
いち農民の悩みまで、さまざまな事象を超自然的に記録する
「しまう」
という力が、この物語のテーマになります。

しまう【仕舞う】
 かたをつけ、終わりにする。やめる。
 使っていたモノ、散らかっている物をかたづける。
 また、かたづけて一定の場所におさめる。
ー岩波国語辞典第四版ー

音といい、字面といい、美しい日本語だなと、
この本を読んで思いました。
ここでの意味はもちろん「かたづけて一定の場所におさめる」。
もっと物語に近づけて言い変えれば
「心に刻みつけて、胸におさめる」となるでしょうか。

この「しまう」という力は、
しまいこんだ事象を映像的ではなく、
空間的時間的に再現するもので……う~ん表現力の限界です。
とにかく不思議で、なんとも説明しずらいものでして。
その辺はどうか、本をご覧ください。

ただ、「しまう」という行為、レベルの違いはあれ、
本質的にはだれもがやっていることじゃないか、と思うんです。
ラストでも、常野のひとり「光比古」が語っていましたが。

登場人物たちも、さまざまなスタイルで「しま」っていました。

現実的な写実で「美」を切り取ろうとする西洋画家。
極限までそぎ落とした空間表現で人の心まで彫りつける仏師。
息子の命を奪った列強を倒すためキテレツな兵器を開発する発明家。

彼らのような絵画や彫刻、発明といった
クリエイティブな行為はもちろん、
日常の他愛のない会話、
夢を見る事、
家族や友人……そして恋人のことを思うこと、
それはまぎれもなく、心に刻み込む力、
「しまう」能力だと思うんです。
……あ~恋人ねぇ(遠い目)。
僕にとっては随分、昔の話になりますが、
人を好きになること(恥ずかし)なんて、
「しまう」ことの連続ではないですか?

カオルちゃんが好きだったビートルズに夢中になり、
マミが飲んでいたキャプテンモーガンをあおり、
カズエが踊るエリスレジーナの歌声にステップをあわせる。
 *すべて仮名ですよ、仮名。あしからず。

彼女たちの世界に飛び込んで、
そのものごと吸収し、心に刻んだこと。
僕にもひとつやふたつ、あるんですよ、一応、ね。

恋ぢゃないけれど、このブログだってそうですよね。
あれもこれも「しまう」ことなんです。
そうそう、「蒲公英草紙」は主人公「峰子」の日記ですし。

そんな思いを仕舞い込んで、今日はおしまいです。

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( 2005.10.05 ) ( 未分類 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
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