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SMALL TOWN BLUES

「語るに足る、ささやかな人生」という本を読んだ。
著者の駒沢敏器氏は雑誌「SWITCH」の元編集者とのこと。

内容は、先日の日記に書いた写真集とリンクするかのよう。
アメリカのスモールタウンだけを回る旅の手記だ。

たとえば……
伝統を守りつづける本物のカウボーイのロデオ大会。
幽霊屋敷のようなホテルを経営しつづけるチャーミングな元美女。
スコティッシュミュージックを守りつづける山あいの村。
犬に関する通報ばかりが多く、それがニュースになる町……
そんなショートストーリーが並ぶ。
とくに印象に残っているのは、こんな話。

インディアナのモーガンタウンという町で、
勘をたよりに入った一軒のダイナー。
この街の人がすべているのではというほどの混みよう。
そして、みんないい顔で食事を、会話を楽しんでいる。

注文したのは、サニーサイドアップにトースト、ハムなど。
日本でいう焼き魚、ごはん、みそ汁的な朝食だ。
これが本当においしい。
「舌とか経験で味わうものではなく、体と心を総動員して
 魂で味わう質のもの」
と絶賛するほどのおいしさだ。

その店の主人にその感想を伝えると、
アメリカの家庭の味を忠実に再現しているだけさ、との答え。
だから、町の人たちはこの店に集い、
ほかのメニューを頼みたいと思いながら、
いつも通りのメニューが恋しくて注文してしまうのだ。

ただ、この店の主人はスモールタウンに店を持ったことで
ひとつ後悔していることがある。
それは、老人ばかりが住むこの町では、なじみのお客さんとの
永遠の別れがすぐに訪れることだ。
彼は最後に筆者に質問をした。
「君はいつ日本に変えるんだ? 
 もういちどこの町に来たいか?」

ここにはBLUESがある。
忘れ去られた町で、
忘れてはいけない味を守りつづける男が、
極東の作家にたずねた言葉には、
「信念」と「迷い」の混じったフレーズが感じられる。
この素晴らしいアメリカを、
そして料理の味を共有する人たちが、
自分を置いてこの世界から消えていくとき、
たとえ一点の曇りのない信念を持っていても不安になる。
この信念さえも、この町と老人たちとともに
消えていくのではないか?

美しさと残酷さ。

戦争と権利と裁判と、
ティーンの妊娠とエイズと純血主義と、
ハンバーガーとポテトとビールと……
そんなイメージとはほど遠いもうひとつのアメリカがここにはある。
僕が好きだったころの「SWITCH」がここにはある。

ON THE ROAD AGAIN

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( 2005.11.15 ) ( 未分類 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
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