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陰日向のやさしい光を浴びて

劇団ひとり「陰日向に咲く」を読んだ。

ピン芸人の彼がどんな小説を書くのか?
帯では、恩田睦さん(!)が絶賛している。
売れ行きも好調だという。
本を手に取ってみると、字がでかい。行が少ない。章が短い。
大丈夫かよ? と思いながら読み進めた。

……すいませんでした。
この本、面白いです! すっごく良かった。
例えれば……(僕の少ないアートボキャブラリーでは定番の)
映画「スモーク」(Pオースター原作、脚本)に似ている。
要は好み!ってこと。

登場人物は、それぞれの章で主人公となる。
ホームレスの自由さにあこがれる「お堅い」サラリーマン
全収入をプレゼントにつぎ込むマイナーなアイドルのファンの男
ただ何となく生きて傷ついてきたカメラマン志望の女
「二番人気の法則」で競馬に金をつぎ込む借金まみれの男
その男からの電話を生き甲斐にする孤独な老女
そして各章に登場する「アメリカ兵を殴った」と自慢する老人
……などなど。
ある章では、ただの通行人だった人物が、別の章では主人公となる。

タイトルの「陰日向」とは、
万年日陰の場所にさした光。
ひんやりとした場所をあたためる日だまりのこと、だそう。

登場人物は、「何の変哲もない日常」という日陰で暮らしている。
でも、そこに日が射せば「何の変哲もない日常」は、
かけがえのない人生の大切なピースとして光輝きはじめる。
「通行人」という平面的な存在でしかなかった人物が、
奥行きを持って立体的にせまってくるんだ。

その奥行きは光と影でできている。
影とは、「悩み苦しんで生きる姿」だ。
幸せをつかもうと、もがく姿がリアルで感情移入できる。
そして印象に残るのは、
主人公たちがことごとく「いい人」だということ。
それはもう、まぶしいほどに。

この本を読んで、僕は妄想する。
僕らが過ごしているこの毎日のなかですれ違う
名も知らない「通行人」も、みんないい人ばかりなのかも知れない。

そんな気持ちにさせる「やさしい本」だった。



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( 2006.03.21 ) ( 未分類 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
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