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砂漠に雪を降らせる男


こんなときになんですが、毎度の読書感想文を。

伊坂幸太郎の「砂漠」を読んだ。

一応、ミステリー作家といわれる伊坂作品の中にあって
異色作という前評判。
それを聞いたときも、読み終わってからも思ったけど、
そんなことどっちでもいいだろ。
いや、怒ってるわけじゃないんですが。

あらすじは、ある大学の男3人女2人の仲間たちの物語。
つんつんヘアで底抜けに明るい「鳥井」。
その鳥井に鳥瞰的と評される冷静な男「北村」。
「そんなことだからダメなんですよ」が口癖の熱い、
暑苦しいヤツ「西嶋」。
偶然にも鳥井の中学生時代の同級生で不思議な力を持つ「南」。
切れる頭と誰もが振り向く美貌を持つ「東堂」。
麻雀をし、合コンをし、ボーリングをする。
そしてひょんなことから事件に巻き込まれる。
その事件によって、傷つき、恋が生まれ、
立ち直り、そしてまた集まる。

カンチとリカなしの青春群像劇でしょ。
なんて思うのは早いッスよ、兄貴。
そこは伊坂ですから。違うんだな、これが。

この作品の素晴らしさは、
「西嶋」というキャラクターの濃さ。これに尽きる。
ネット上では早くも映像化の話題が出ていて、
西嶋だけは満場一致で「サンボマスターの山口隆」だ。
どうですか、みなさん!!!
鳥井も北村も南も東堂も、
僕らのすぐ隣にいるようなやつらだけど、
ただひとり、西嶋だけは違う。
あんなヤツいないよ、ホント。

そやった、読んでないんすよね、旦那。
どんなヤツよ?ということですよね、
書き出してみましょうか。

・麻雀をするときは「ピンフ」しか狙わない。
 なぜなら「平和」と書くから。
・クラッシュのジョーストラマーと、
 ラモーンズのジョーイラモーンを敬愛している。
・嫌いな人物:アメリカ大統領
・目の前で困って入る人がいればばんばん助ける!
・イラクでアメリカが悪さしているのに、
 僕らは今こんなことをしていていいのか、といつも考えている。

これだけでも、充分暑苦しくて、
ある意味うざったいやつだというのは伝わったと思うが、
ただの糞真面目野郎だと思われるかもしれないので、
「目の前で困って~」に関係するエピソードを引用する。
っていうか立ち読みか、これ。
でも、こうじゃないと伝わらないと思うから。

※募金を装った詐欺が横行しているというニュースについて、
「寄付したのに正しく使われないなんて馬鹿馬鹿しい」
「そもそも小銭くらいじゃ何の足しにもならないし」
「偽善っぽくて嫌」
「ひとつの団体に寄付しておいて、他の団体に寄付しないのはおかしい。首尾一貫してないし、単に自己満足っぽいよね」
と話すシーンで。それも合コン中のかる~い話題ッスよ。

>何を言ってるんですか
>そうやって賢いフリをしてね、得する人間なんていないんですよ。この国の大半の人間たちはね、馬鹿を見ることを恐れて、何にもしないじゃないですか。馬鹿を見ることを死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ。
>募金箱を抱えている人が、実は詐欺師かもしれない、なんてね、そんなことまで勘ぐってどうするんですか。寄付してやればいいんですよ、寄付してやれば。偽善は嫌だ、とか言ったところでね、そういう奴に限って、自分のためには平気で嘘をつくんですよ。

※この話を「百年前にタイムスリップして、そこで会った町民が謎の病気で倒れている。ただポケットの中には現代の病院でもらった抗生物質がある」という状況になぞらえて、さらにつづける。

>……でもって、それを町民にあげようかと思うんですがね、はたと気づいちゃうんですよ。この時代には抗生物質はまだ存在しないはずだから、ここで抗生物質を使うことは歴史を変えることになるのではないか、なんてね、思うわけですよ
>さっきの募金と同じですよ。関係ないんですよ!歴史とか世界とかね。今、目の前にある危機、それですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ。その結果、歴史が変わったって、だからどうしたって話ですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ、ばんばん。みんなに広めちぇえばいいじゃないですか。あのね、目の前の人間を救えない人が、もっとでかいことで助けられるわけないじゃないですか。歴史なんて糞食らえですよ。目の前の危機を救えばいいじゃないですか。今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ

どうですか。
長い! ごもっとも。まぁそう言うなって、セニョール。
彼の発言が正しいか、なんてことはどうでもいいんですよ。
この熱さ、直球勝負、世界は変わる/世界を変えるという信念。
それですよ。
クールでいることを履き違えて、何にも興味もなく、
毒づいて観客然としている人多くないですか?
あなたの周りにはそういう人がいませんか?
あなたはそうじゃないですか?
オレはそうかも。

西嶋はうざい! 会うたびにあれですから。
理解しようというほうが無理ってもんで。
でも、あんなヤツが友だちだったら。
オレはそう思ったよ。

彼が変えてくれると思うんだ。
悲劇的で無関心で無慈悲で快楽主義で
堕落したこの世界を。
彼がバランスをとってくれると思うんだよ。

最後に、鳥井の西嶋評を引用する。
>馬鹿馬鹿しくて元気が出るよ。
そんな小説だった。



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( 2005.12.27 ) ( 未分類 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
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