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背景が知りたくなる。
どんな音楽、映画、小説、が好きなんだろう?
そんな作品に久しぶりに出会った。

伊坂幸太郎の「死神の精度」という短編集。

岡崎京子や松本大洋のコマの隅の落書きのように、
ポール・オースターの小説の登場人物の読む小説のように、
クレイジーケンバンドのアルバムのように、
タランティーノの映画のワンシーンのように。
作者が影響を受けたカルチャーへのストレートな愛情が見える。
引用の美学にあふれた小説でした。

印象的だったのは、
第四話「恋愛で死神」にあったこのセンテンス。

 「昔、観た映画にですね
 こういう台詞があったんですよ。
 『誤りと嘘に大した違いはない。
 五時に来ると言って来ないのはトリックだ。
 微妙な嘘というのは、ほとんど誤りに近い』って」

これを言った男は、ある女に恋をしています。
彼女に向かって、この言葉を口にしようとしたとき、
その先を彼女に言われてしまう。

同じ映画を好きだったなんて。
同じセリフを覚えていたなんて。
この会話からふたりの恋がはじまります。

この登場人物、オトコ前ッスよね。
こんな引用をさらりとこなすたぁ、たいしたもんです。
まあ、つまりは伊坂氏ということですが。
かっけぇ! そう思いました。

あと引用元をひけらかさないところもクール。
でも下世話で野暮で物を知らない僕は、
この引用のネタ元をネットで調べてみたんです。
そしたら、ゴダールの「女と男のいる舗道」だって!

そういえば、この小説から漂う空気は、
ゴダールの映画と似たものを感じます。

この小説のストーリーテラーは、死神「千葉」。
彼は7日後に死ぬ人間の前に現れ、調査し、
死するべきかを判断するんですが、
当初から非人間的な発言ばかり繰り返します。
まあ死神ですから当然ですが。
その言葉には哲学的な香りがぷんぷん(そこが最高!)。
後半にいくにつれ、伊坂氏も露骨に思想家の言葉などを
彼に引用をさせています。

引用といえば、まぎれもなくゴダールの作風そのもの。
っていうか、ゴダール好きだから、引用しまくってるのかも。
どうだろ?
でも伊坂氏が引用した台詞、
ゴダールもどこからか拝借してたりして。
無限ループですな。

僕個人的に、ゴダールの引用術の中で最も好きなのが、
「気狂いピエロ」ラストシーン。

 見つかった 何が? 永遠が
 海と溶け合う太陽が

ってやつです。
第六話「死神対老女」を読んで、これを思い出しました。
どう似てるかを書くとネタばれになってしまうので、
書けないんですが。すいません。

そんな引用を愛する(!?。僕の勝手な思い込みか。まあいいや)
コータローとJLに影響されて、僕もある小説の引用を使います。

 かわいい女の子との恋愛と
 デューク・エリントンの音楽以外のものは
 みんな消えてしまえばいい

死神の「千葉」の設定は、まるでこの言葉のよう。
彼は、あらゆるミュージックを愛していて、
調査対象が死ぬことはもちろん、
全人類が滅びても一向に構わないが、
ミュージックがなくなることだけは困る。
そんなナイスな死神「千葉」には、この言葉が似合うと思うんです。

えっ、死神にとってはかわいい女の子との恋愛だって
いらないんじゃないかって? 違うんだなぁ。

もし気になるなら、この本を読んでみてください。
確かに彼は恋愛はしないけれど、
ある男女の人生から、その素晴らしさを学んだはずだから。

嬉しいほどに眩しい、空と海が溶け合う果てに。



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( 2005.09.25 ) ( 未分類 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
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